貿易及び通関制度

「商業会社の貿易業務に関する省令」により、商業省に登記した企業は自由に貿易業務ができると公布されている。また税関法により、輸入・輸出に関しては以前に較べるとスムーズな対応が進み始めている。別途、カンボジアは「EBA」「一般特恵関税制度(GSP)」「輸出適格投資プロジェクト」「アセアン自由貿易協定」適用をうけることも重要なポイントとなるであろう。

 

貿易・税関に関する法制度

現行税制度は「税法改正に関する法律(2003年)」により規定されている。
「商業会社の貿易業務に関する省令(2000年公布)」により、商業省に登記した企業は自由に貿易業務ができる。また税関法(2007年施行)により、「輸出入物資に対し、関税やその他の税を管理・徴収する権限を行政機構に与える」「それら物資の輸送、保管や通過を管理・規制すること」「詐取や密輸の防止と駆逐の促進」「カンボジア政府の国際的通商政策の実施への参画」「通関手続きと通商円滑化の国際標準とベスト・プラクティスの適用促進」と定められている。

 

輸入・輸出

全ての輸入/輸出物資は、税関事務所などへの報告義務がある。

 

関税分類、通関、関税免除

  • 関税分類、原産地、関税とその他の税を含めた、通関価格を記載し、税関確認後証明とされる。
  • 税関が通関価格を証明するために、情報開示の義務がある。
  • 税関は申告登録日から3年以内に輸入貨物の検査等を行い通知する。
  • 不正が申請日より10年間以内に見つかった場合、追加関税や罰金等を税関に支払わなければならない。
  • 輸出入の目的により貨物は分類され、関税等の税は関税表に基づき計算される。
  • 輸入時は、貨物の原産地に従い関税等が課税される。自然物については収穫された国が原産地となる。
  • 他国からの原材料を使用せず、同国で生産された製品は、その国が原産地となる。
  • 輸入貨物の通関価格は「輸出するために売却された物は、支払われた取引価格」「通関価格が決定できない場合は、同一/類似商品の取引価格を使用」「前二項でも不明な場合、推定/算定方式」などの基準で決定される。
  • 輸出商品の通関価格は、出国地点の商品価格となり、運送コスト、輸出業務費用などを加えて算出される。ただし輸出業者が領収書を有する輸出税、内国税、その他の賦課金等は含まれない。
 

輸入関税の免除措置、一部免除措置

・免除措置
通過/積み替えのために持ち込まれた貨物、一部法令に定める輸入貨物、外交官/領事、国際機関/外国政府の技術援助機関の貨物


・一部免除措置
農業用種苗や繁殖用動物、一時輸入貨物、一部法令に定める貨物や原材料

 

通関申告・税関保管

全ての輸出入貨物は、通関申告しなければならず、輸入者が関税などを支払う義務がある。税関・保税倉庫での保管時は、事業者に輸入関税などの支払い義務がある。書類や申告に問題がある場合、通関手続きは一時保留となり、税関の指示のもと税関にて貨物保管することがある。その間(一定期間)は税金がかからない。

 

輸出入手続き

・貿易円滑化プログラム
電子通関システム(ASYCUDA)をもとにした、新しい通関申告書である「単一管理書類(SAD)」と、貿易関連の申請、通関、検査に適用されるリスク・マネジメント・システムを導入し、通関に要する平均時間は、輸出で4.3日、輸入で5.1日となっている。

 
後発開発途上国の輸出特恵

カンボジアは後発開発途上国として、米国、EUなどの先進国により最恵国待遇を与えられている。EU向けの輸出はEBA制度により、関税及び輸入割当て免除が認められる。米国、日本でも一般特恵関税制度が認められる。

 

輸出に関わる現地化比率と原産地規則

カンボジアに現地化比率規定は存在せず、輸出製品の生産輸入原材料・部品の使用については有害でければ制限はない。またカンボジアの輸出業者は、EBAを含む一般特恵関税制度(GSP)の原産地規則の規定を考慮する必要がある。EU向け輸出はEBAにより後発開発途上国に対し、ほぼ全ての製品が0%関税となる。一般特恵関税制度では、輸出製品は受益国原産でなければならず、輸出国の原産とみなされるには、原産地規則に定められた一定の基準(技術的基準、付加価値、その他の基準で決定)をみたさなければならない。
EBAでは、特別免除規定として一定の縫製品については、アセアン/EUからの輸入原材料(供給業者のGSP証明が必要)もカンボジア原産とみなされる。

 
輸出に関する優遇措置、制限、課税

 「輸出適格投資プロジェクト」として、生産設備、建設資材、生産原材料、中間材料、副資材等を免税で輸入できると定めている。また縫製業・製靴業の適格投資プロジェクトは付加価値税も免除している。「輸出適格投資プロジェクト」と認定されると、タックスホリデー(法人税免除)や特別償却制度の利用が認められ、輸出に際しても原材料にかかる付加価値税の払い戻しが可能となる。骨董品、麻薬、有毒物、丸太、貴金属、貴石、武器については、輸出を禁止、制限がある。また、半加工/加工済の木材、ゴム、生または加工皮革、魚類(冷凍魚または切り身)、生きている動物、砂利・砂の輸出には10%の輸出税が課せられる。

 

免税輸入

適格投資プロジェクトの種類毎に、生産設備、建設材料、原材料、中間財または付属品の免税輸入を認めている。免税輸入許可を得るには、カンボジア投資委員会/経済特区委員会に毎年マスターリストを提出して、原材料の量・種類・価格を含む年間輸入計画を示す必要がある。

 

一般関税

改正投資法、または他の特別規則により免税措置が認められていない限り、入国地点で輸入貨物に輸入関税が課せられる。輸入関税は、基本的には0%(医療、教材等の免税品目など)、7%(第一次産品及び原材料など)、15%(資本財、機器材、国内調達可能な原材料など)、35%(完成品、アルコール、石油製品、自動車、貴金属・宝石など)の4区分に分けられ、輸入品には10%の付加価値税(VAT)が課税される。

 

アセアン自由貿易協定

アセアン加盟国(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、タイ、カンボジア)であり、加盟国間で締結される自由貿易協定による関税削減の適用対象となる。原産地規則を充たす場合、協定による特恵関税率によりアセアン諸国からの輸入物資に対して低率関税が適用される。

 

カンボジアに関するアセアン自由貿易協定
  • 2015年を目安に、中国とカンボジア間の関税率をゼロに引き下げ
  • 2016年を目安に、インドとカンボジア間の関税率をゼロに引き下げ
  • 2018年を目安に、韓国とカンボジア間の関税率をゼロに引き下げ
  • 2024年を目安に、オーストラリア、ニュージーランドとカンボジア間の関税率をゼロ(85%の品目)に引き下げ
  • 2026年を目安に、日本とカンボジア間の関税率をゼロ(85%の品目)に引き下げ
 

参考資料・情報提供:カンボジア開発評議会