カンボジア投資法

外国直接投資法にて、外国からの投資を奨励しており、外国人投資者であっても土地所有を除き、内国法人と差別なく扱われ自由に投資することが許されている。2005年にはカンボジア開発評議会(CDC)内にカンボジア経済特別区委員会(CSEZB)が設立された。また経済特区管理委員会 (SEZ Administration)が各経済特区に設立され、プロジェクト登録から輸出入許可までワンストップサービスを提供するなど、海外投資する際の不透明さがかなり軽減されてきている。

 

投資に関する法制度 

「改正投資法施行のための政令」内に記載される一部の投資禁止分野および、外国人に対して制限されている分野を除き、商業省より許可を取得すれば自由に投資活動ができる。ただし、投資優遇措置の適用を求める場合は、CDCまたは投資小委員会(PMIS)に申請する必要がある。
改正投資法(2003年3月改定)が制定されたのち、2005年には、200万US$未満の投資に対するライセンス制度を規定する「州・特別市投資小委員会の設立に関する政令」と「改定投資法施行に関する政令No.111」も発布されている。

 

投資ライセンス制度の概要

「改正投資法(2003年)」では投資プロジェクトの自動認可制度を採用しており、一部を除き、申請がCDC/PMISに受領されてから31労働日以内にライセンス手続きは終了する。投資許可は投資家または投資企業に対して発行されるのではなく、投資プロジェクトを対象に発行される。投資ライセンスを受領したプロジェクトは「適格投資プロジェクト(QIP)」と呼ばれる。

 

カンボジア開発評議会

全ての復興、開発及び投資プロジェクト活動に関して責任をもち、ワンストップサービスを提供する機関。 ただし、「5000万US$を超える投資」「政治影響を有す場合」「鉱物資源・自然資源の探索と開発」「環境に悪影響が懸念される」「長期開発戦略を必要とする」「「建設・所有・譲渡 (BOT)」「建設・所有・運営・譲渡(BOOT)」「建設・所有・運営(BOO)」「建設・賃借・譲渡(BLT)」契約に基づく「インフラ・プロジェクト」の条件を含む投資プロジェクトは、CDCは閣僚評議会の認可を得て承認する。
適格投資プロジェクト(QIP)の認定を受けるにはCDC/PMISに投資プロジェクトを登録し、投資法に基づく「最終登録証明書」を受領しなければならない。CDCはワンストップサービスを掲げ、投資申請者に代わり、(投資プロジェクト)条件付登録証明書(CRC)に記載された関連省庁から要請のある全ての必要なライセンスを取得する。QIPは条件さえクリアすれば認可可能だが、土地を所有する場合は、カンボジア人所有株式比率が51%以上でなければならない。

 

投資優遇措置

  • 法人税の免税/特別償却の適用選択可能
  • 法人税免税制度(選択制):タックス・ホリデーの期間は、「始動期間」+3年間+「優先期間」で構成
  • 最長始動期間:最初に利益を計上する年または最初に売上げを計上してから3年間のどちらか短い期間
  • 一部の生産設備及び建設材料等の免税輸入制度「国内志向型QIP:生産設備、建設資材及び輸出品生産のための生産投入材」「輸出志向型QIP :生産設備、建設資材、原材料、中間財、副資材」「裾野産業QIPs:一定条件を持つ生産設備、建設資材、原材料、中間財、生産投入用副資材」
  • 法に規定される場合を除き、輸出税が100%免税
  •  CDC/PMISの認可を受けた場合、QIPの権利・特典を譲渡できる
 

優遇措置適格プロジェクト

優遇措置付与に必要な最低投資条件、金額紹介
  • 輸出産業に全製品を供給する裾野産業 10万US$
  • 動物の餌の製造 20万US$
  • 皮革/金属/電気・電子器具/事務用品/玩具/スポーツ用品/自動二輪車/陶磁器の製造 30万US$
  • 食品/飲料/繊維産業/衣類縫製、繊維、履物、帽子の製造/木を使用しない家具・備品/紙/ゴム製品/プラスチック製品/上水道の供給/伝統薬/輸出用水産物/輸出用穀類 50万US$
  • 化学品/セメント/農業用肥料/石油化学製品/薬の製造 100万US$
  • 近代的マーケットや貿易センターの建設 200万US$/1万ヘクタール/駐車場用地
  • 工業、農業、観光、インフラ等技能開発、技術向上訓練・教育機関 400万US$
  • 国際貿易展示センター/会議ホール800万US$
 

投資保障

改正投資法では投資保障として、「外国投資家は、土地所有権を除き、内国投資家と同様の扱いとなる」「政府は民間投資家の資産に悪影響を及ぼす国有化政策を行なわない」「政府はQIPの製品価格やサービス料金に対し統制を行なわない」「政府は投資家が銀行を通じて外貨を購入しその外貨を海外へ送金することを許可する(一定条件あり)」を規定している。
また日系企業に関しては、日本とカンボジア間で「投資の自由化、促進及び保護に関する協定(2008年8月)」が発効されている。

 

外国人投資に関する制限

「向精神剤及び非合法薬の製造・加工」「国際規約または世界保健機関によって禁止され、公衆の健康や環境に影響を及ぼす、毒性を有する化学品、農業用除虫剤・殺虫剤、その他の化学品を使用する薬物の製造・加工」「外国から輸入する廃棄物を使った電力の加工及び生産」「森林法により禁止されている森林開拓事業」などは投資が禁止されている。

 

外国市民に関わる制限

土地保有は、カンボジア市民権を有する自然人かカンボジア企業に限って可能であるが、土地使用はコンセッション、無制限の長期賃借、更新可能な有期の短期賃借等が認められている。さらに土地上の不動産や個人資産を所有することや、債務保証として担保に差し入れることも認められている。
また資格や専門性がカンボジア国内で得られない場合は、管理者、技術者、熟練作業者として外国人を雇用するためのビザや労働許可を得ることが認められている。

 

特定分野に対する投資優遇措置

「種、繁殖種、残渣、トラクター等の農業用機器など、農業用原材料・機器を対象に輸入関税の減免やVAT政府負担制度がある」「農業/農産加工分野のQIPは、法人税免税制度により3年間の優先期間を認める」「縫製業における輸入生産資機材は、最終製品が輸出される場合はVAT免除」「縫製製品・繊維製品・履物を輸出支援する裾野産業における輸入生産資機材に対するVAT免除」「縫製製品の輸出で提供される裾野産業やコントラクターの製品やサービスに対するVAT免除」などが特定分野の投資優遇措置として認められている。

 

外国為替・貴金属の輸出入制限

1万US$以上を海外送金する場合は、その金額をカンボジア国立銀行へ届け出なければならない。また、金や未研磨状態の宝石、その他の貴金属の輸出入を行う場合もカンボジア国立銀行への事前の届出が必要となる。
旅行者による1万US$以上に相当する各国通貨の輸出入については税関申告が義務付けられている。
居住者と非居住者間の金銭のやり取りは銀行を通じて行なわれる場合は自由となる。

 

適格投資プロジェクト時の送金

適格投資プロジェクト(QIP)に対し、投資時に生じる「輸入代金及び国際借入の元金・利子の返済」「ロイヤルテイー及び経営管理費の支払い」「利益送金」「会社解散の場合の投資資金の送還」など、債務返済のために、投資家が銀行を通じて外貨を購入し、自由に国外へ送金できることは保証されている。

参考資料・情報提供:カンボジア開発評議会