証券市場

 

現在、世界に証券取引所を有する国は115ヶ国(2011年8月31日時点)あり、当地カンボジアにも2011年7月11日にカンボジア証券取引所(CSX)が開設された。ただし現時点では実際の取引はなく、今年度末を目標に「カンボジア通信公社」「プノンペン水道公社」「シアヌーク港湾公社」の政府系3公社が上場を目指しており、証券関係者は売買取引開始に向け準備を本格化させている状況にある。

 

証券市場開設までの経緯

カンボジア政府は経済成長の基盤づくりの一環として、2007年より証券取引所の開設を検討し始め、2008年に韓国取引所(KRX)をパートナーとして選定し、共同で証券取引所を設立することとした。CSXへはカンボジア財務経済省(MEF)が55%、KRXが45%を出資しており、証券取引法、取引システムはじめ取引所運営に関して、KRXからの全面的な支援を受けている。これは、本年1月11日に株式売買が開始したラオス証券取引所(ラオス中央銀行が51%、KRXが49%出資)と同じ方式である。これらは、韓国政府が日本よりいち早く進めているインフラ輸出のひとつであり、金融市場の整備を通じて両国間の経済関係を深め、韓国企業の事業拡大にもつなげようといった国家戦略に基づいている。

 

証券市場の誕生で何が変わるのか

証券取引所の誕生で、これまで銀行融資を中心とした間接金融による資金調達手段しかなかったカンボジア企業には、直接金融による証券市場からの資金調達の道が開かれる。これによって、長期性資金の調達が可能となり、企業の新規事業投資や設備投資を進める環境が改善することで、経済成長のスピードを加速させる原動力にもなり得ると考える。また上場に際しては、会計制度の透明化、社内統治体制等の整備が厳しく求められていることから、カンボジア企業経営者の企業統治に対する考え方が改まり、更なる海外投資を呼び込む基盤整備へとつながることも期待できる。

 

証券市場への期待

一方、株式市場を支えるのは投資家であり、今日台頭が著しいカンボジア中間所得層、海外投資家にとって開かれ、魅力的である市場の運営をCSKには求められている。取引通貨として、カンボジア国内でも流通通貨の10%に満たない「リエル」としたことは、海外投資家からも多くの失望の声が聞かれた。CSXは当初3年間に限り「米ドル」も認める方針を出しているものの、今後の市場動向を見ながら、実態の経済活動に沿った対応を迫られることになるであろう。  また税金に関しては、同様に当初3年間に限り、一定の優遇税制(配当金の源泉徴収税率を50%免除等)を導入することが示され、キャピタルゲイン課税については、現在政府間で、ある程度の優遇税制を導入することで最終協議がなされている。こうした動きが、市場の声を迅速かつ正確に反映させることで、世界115カ国目の証券市場としてではなく、魅力ある証券市場として海外からの投資を呼び込み、カンボジア経済を牽引する原動力となってくれることを関係者の一人として、切に願う。

 

 

宗 英一郎(そう えいいちろう)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科卒、SBIプノンペン証券CEO兼プノンペン商業銀行取締役、カンボジア日本人商工会役員(会計担当)。

 

 

 

カンボジア証券取引委員会(SECC)サイト(英語版
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